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まじいなぁ~  ・・・ No16
- 2017/12/21(Thu) -
Chrome で書いています。


「はい、池袋、東京弁護士会です」 ハッキリとした透き通る様な声だった

「初めてのご相談で電話をしたのですが」
「はい、どの様なご用件でしょうか?」
「実は、2~3日前、友人の女性が逮捕されまして、弁護士先生をお願いしたいのですが」
「もう逮捕されてる訳ですね」
「ええ、そうです」
「そうですか、実は、こちらの弁護士会では逮捕後の推薦や選任はやっていないんですよね」 優しかった
「では、どうしたらいいんでしょうか?」
「宜しければ、その様な場合は 当番 弁護士のいる上野、弁護士会館へご連絡をしてみては如何でしょうか」
「当番弁護士先生ですか」
「そうですね。 逮捕後ですとそちらの方が宜しいと思いますが」
「では、上野ですか?」
「はい、上野の弁護士会館がここからでしたら近いですね」
「連絡先の電話番号をお知らせ戴けませんか?」
「はい、宜しいですか?」
「どうぞ」
「03-3580-00**です」
「03の3580、00**ですね」
「そうです。 そちらへご相談下さいませ」
「有り難うございました」
「いいえ、どういたしまして」

カチャ

 受話器をフックに置いた。

 俺の知る限り、当番弁護士と言うのは定年のない弁護士業界で、爺たちが暇つぶしで、順番で事件を待っているイメージがあり、余りいい印象がない。 勿論、現役バリバリの弁護士ならどこかの事務所に所属しているのが当たり前だった。 この 当番 弁護士にお願いをして希望通りに事が進んだ事も聞いたことが無い。 肩書きだけのロートル爺の弁護士が多い。

 弁護士を依頼するタイミングは逮捕前が最適だ。 事情を話して、もし逮捕されたら弁護してもらう。 ここで言う「弁護」とは法廷ではなく、機動力を生かして、捜査中の警察署へ出向いて、現在までの捜査資料や状況を把握して、予想される逮捕後の容疑に備える事だ。
 一般的には、危なくなると、まずは知人、友人を通して紹介してもらった弁護士事務所を訪ねる。 そこで担当してもらう弁護士と相談する。 30分ほどで2万円位が相場だ。 その際に、その弁護士が引き受けてくれるとなると、おおよその総額を提示してくれる。 「ん~今回は30~50万円位かかりますよ」と教えてくれる。 
 で、次回の相談時に、着手金として10万円でも20万円でも支払う。 これで弁護してくれる事になる。 途中の経費や中間金なんてものは殆どの場合は必要としない。 残りは釈放されてから、再度、事務所を訪れてお礼と残金を支払う。 これが一般的だ。
 よって、弁護士もこの残金を取り損ねたり、分割にされるケースも多々あるのだ。 この、自分から逮捕前に、逮捕されそうなのでお願いしますと、言うのが「私撰(しせん)弁護士」と呼ばれる。 警察側が一番嫌がるパターンだ。

 もう一つ、国選(こくせん)弁護士がある。 これがいわゆる、当番弁護士=国選弁護しとなり、負担費用は無料で、国が弁護士へ支払う。 よって、最低限度の収入しか入らないので、弁護側のやる気が感じられない。 1件あたり国選は2~5万円の報酬なのだ。 だから、国選(当番)弁護士と言っても数件の事件を同時に裁いて稼ぎにしていく。 何のアドバイスや対抗もせずに、裁判の時にだけ顔を初めてだして、型取りの弁護で実刑を食らっても、1件終了で2~5万円を受け取れるからだ。 

 1番のベストは逮捕前に「なんか、逮捕されそうなんですが・・・」と紹介してもらった弁護士へ連絡を取る事で、次の2番目は・・・・無い。 国選弁護士で無事、不起訴になったり、簡易裁判で有罪だが、罰金刑で釈放された、などとは俺は聞いたことが無い。

 奥の手として、最悪、捕まってしまったら、1度、速攻でこの当番弁護士を警察での取り調べの最中に呼び込む。 相手の弁護士を見て、やる気があるか、信じてお願いできるかを見極める。 弁護士からのアドバイスで行けそうならば、その当番(国選)弁護士を「私撰」に変更するやり方もある。 当然、私撰に変更する訳なので金額は全額自分負担となるが、弁護士の動き方が多少は変わるので猶予の希望も湧いてくるのだ。

 当番(国選)と早めに面会して、ダメな爺弁護士なら、弁護を止めてもらう。 1度の話だけなら無料だし、時間も制限が無く弁護士とは相談ができる。


 今回のタエちゃんの場合は、逮捕済みである。 
 選択は、①当番弁護士に依頼して、1度切りの面談で、後の弁護はしてもらわない。
       ②当番弁護士に依頼して、国選待遇扱いから、実費覚悟での私撰待遇扱いに変更して、終始弁護を依頼する。
       ③裁判まで国選弁護士を付けないで取り調べを進める。


 俺の選択は、①だ。
 
 知り合いにも弁護士はいる。 最悪、会社の顧問弁護士のネットワークで最高の弁護士を付ける腹もあるからだ。 今、一番必要なことは「タエちゃんの置かれている状況」が知りたいのだ。 その状況が分かれば、対処は出来る。 だたし、罪名が大げさな罪名なので、本腰なら300万円~の覚悟もいる。

 まずは、タエちゃんと当番(国選)弁護士とを面会させて、タエちゃんが今、何を困っているのか?、何を心配しているのか?、罪名が適切なのか?が知りたいのだ。 逮捕後に罪名がころころ変わるケールも多々あるからだ。


 気は進まないが、取りあえず、上野にある弁護士会館へ電話してみる事にした。


「取りあえず、当番弁護士に連絡を入れて、タエちゃんの状況を見てきてもらいましょう」 彼に話しかけた
「ええ、宜しくお願いします」 もう言葉がでない

「ん~と、上野の弁護士会館は 03-3580-00** だよなっと」 メモをみながらプッシュボタンを押す

「はい、弁護士会館です」 おばちゃんの声だったw
「済みません、初めての電話で、ご相談なんですが、逮捕された友達に弁護士先生をお願いしたいのですが」
「はい、分かりました。 当番弁護士の先生がおりますので、ご連絡をこちらから取らせて戴きますね」
「はい、お願い致します」

「では、まず 逮捕された人のお名前を教えて下さいませんか」
「はい、ラッタナポーン・シープラジャン 、または、木下 ラッタナポーン と言うタイ人の女性です」
「そちら様はどなたでしょうか?」
「夫の代理人で、知人です」
「では、今、お電話をいただいています方の、お名前と、お電話番号をお知らせ下さいませ」
「はい、めめと言います。 連絡先電話番号は携帯で090-9312-9797です」
「めめ様ですね。 お電話は090-9312-9797ですね」
「はい、今、ここに逮捕されました奥さんの旦那さんもおりますが・・・」
「いえ、結構です。 タイ人の女性で いつ頃、逮捕されましたか?」
「一昨日か昨日だと思います。 昨日のTVのニュースで知りましたので」
「そうですか。 分かりました」
「どこで逮捕されたか、分かりますか?
「定かではありませんが、新宿のアパートで、錦糸町の本所警察が来たと聞いています」
「そうですか。 その女性の生年月日は分かりますか?」
「分かります。 1996年11月1日生まれで25歳です」 以前のビザ更新用紙を見ながら答えた

「繰り返しますね、ラッタナポーン・シープラジャン または、木下 ラッタナポーンさんで、1996年11月1日生、タイ人の女性。 逮捕は一昨日か昨日ですね。 新宿のアパートで錦糸町の本所警察署が逮捕したんですね」
「その様です」

「では、こちらから当番弁護士先生へご連絡をしてみてから、めめ様の携帯電話へご連絡しますので、1度、切ってこちらからの連絡をお待ち下さいませ」
「あ!言い忘れましたが、現在は錦糸町管轄の本所警察署では無く、女性拘留所の北区、西が丘分所にいる事までは分かっています」
「そうですか。 では出来るだけ早くご連絡を致しますので、少々、お待ち下さいませ」
「宜しく、お願い致します」

カチャ

 まぁ~上野と北区だとそんなに遠くも無いので、ハズレを引いての爺弁護士でも、行って帰って来る事くらいはできるだろう~と心の隅で思いながら、弁護士会館からの折り返しの連絡を待った。

 タエちゃんの旦那(木下)さんは完全に硬直状態でソファに座っていた。 イズが入れてくれたコーヒーに、一口も手をつけていないまま冷えてしまっている。
 メモ用にアメリカ製の黄色いレポートパットを取り、机からソファーへ座り直した。 ガラス越しにサチが聞き耳を立てている影が見えたので 「サチ~、コーヒーおかわり!」 と、大声で叫んでやった。 目の前の木下さんが、その声でようやく冷凍解凍された明太子の様にゆっくりと動き出した。




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