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まじいなぁ~  ・・・ No20
- 2017/12/23(Sat) -
Chrome で書いています。

 エレベーターで1階へ降りると、同じ門番がいた。 おや?早いですね、とでも言いたそうな顔だったが、2階での対応を思い起こしていたので、門番など相手にもしたくなかった。 来た時は先頭だったが、帰りは2人の後ろに一緒に付いて来た。 アルミの出入り口を開けてもらい、「有り難う御座いました」と軽く会釈した。 「ご苦労様でした」と声だけが閉まった扉からかえって来た。

 留置所をやっと見つけ出し、私撰弁護士を付けて情報を集めようとしたら、私撰弁護士が付いていた。 あげくの果てに、面会にまで来てみると、タエちゃんから「知らない人」だと言われる。 訳が分からない事件だ。 おまけに女性物の下着やジャージが山ほど余ってしまった。 笑えない結果だった。

 出口近くの鉄格子近くで車を呼んで、タバコに火をつけた。 空が悲しいほど青い。 煙を手の届きそうな青空へ吹きかけていると、彼が深々と頭を下げた。

「色々と、本当に有り難う御座いました。 差し入れまで買って来てもらって・・・済みませんでした。 気が動転してて、自分では差し入れの事なんが、全く気が付きませんでした」
「いやいや、留置所へ放り込まれたら、下着と金ですからね」 笑
「さっきの5万円、必ずお返ししますから、少し時間を下さい」
「いや、タエちゃんに、とっととここの留置所から出てきてもらって、彼女から受け取りますよ^^」
「ほんと、助かります」
「まぁ~当面の間、必要な物があれば、中からでも買ってもらえますからね」
「そうですね」
「男なら、入らない物の方が少ないハズなのに、ここは厳しいですね・・・さすが女子専用の差し入れは」
「ですよね」
「まぁ、ここにいる事も分かったし、今日は運がよかったんでしょうよ。取り調べが午前中で終わったのか、丸々1日、空きの日だったのか、時間的にも夕食5時ですから、早めに戻って来ていたのかも知れませんねがね」
「居場所がわかって、また、弁護士が付いていた事もわかって、なんか、安心って事じゃないけど、落ち着きました」
「そりゃ~良かったですよね。本当に」
「ええ」

「面会に来ても知らないと、言い張るんだから、ご主人の所へも連絡が行かなかった訳ですね・・・」
「そうでしょうね」
「タエちゃんらしいじゃないですか」
「え?」
「旦那さんや友達に迷惑をかけたくない思いなんでしょうよ、きっと」
「そうでしょうかねぇ」
「きっと、そうですよ。 会いたくないハズなんてないですよ。 俺なら喜んで面会しますけどね^^」
「・・・」
「我慢したんでしょうね・・・彼女なりに」
「ですかね」
「強いですね。 旦那さんに知られたくない、迷惑をかけたくない一心でしょうね」
「・・・」
「でも、俺にまで強がらなくても良いのにさぁ~」
「すみません」
「いや、あなたが謝る事じゃないですよ」
「・・・」
「俺はただ、タエちゃんが強いなって、感心してるだけなんでね」
「・・・」
「警察も弁護士も、その気になれば金沢の住所くらい分かるハズですから、きっとタエちゃんが弁護士へ、金沢へは連絡しないで欲しいと伝えたんでしょうよ」
「ですかね」
「後の事はもう少し調べて、俺からまた連絡しますから、金沢で、何か動きがありましたら教えて下さい」
「わかりました。 何かありましたら直ぐに連絡します」
「俺の方も気になる事があるんで、2~3日したらまた連絡しますから
「おねがいします」
「連絡は夜の方が良いですよね」
「ええ、出来れば夜だと、必ず家にいますから」
「分かりました」
「どうも 錦糸町 と言う街が気になるんですよ」
「・・・」
「まぁ~2~3日、待ってて下さい。 弁護士も付いている事だし、大きな心配は無いと思いますので」
「はい、安心しました。 今日は本当に有り難う御座いました」

「で、」
「?」
「車が来た様ですから、上野駅で良いですか、東京駅がいいですか?」
「え~いえいえ、その辺の駅で」
「水くさいこと言わないで下さいよ。 じゃ、上野駅まで行きましょう」
「すんません」

 右側から歩道橋の下を抜けて、S500が滑り込んで来た。
「乗りましょう」
「はい」
 運転手がハザードを付けて、降りてこようとしたところを止めて、トランクを開けさせた。 ユニクロの袋をトランクに投げ込み、そのまま2人で後ろの座席へ乗り込んだ。

「専務、どちらまでですか?」
「金沢の駅まで頼むわ」
「え?かなざわ・・・」
「冗談だよ、冗談。 上野駅まで頼むわぁ」
「畏まりました」 笑


 タエちゃんは面会に行った俺と旦那を知らないと、言い張った。 旦那のことを思って、知らないと言い張ったのだろう。 会いたくないハズなど無い。 絶対、会いたいハズだ。 ・・・なのに。 

 タエちゃんは旦那へ迷惑が及ぶことを恐れて、知らないと言ったのだ。 強い心の持ち主だと痛感させられてしまった。 俺よりも心の強い女性だった。





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